アナザーラウンド

デンマーク、オランダ、スウェーデン映画「アナザーラウンド」(Another Round)を観ました。


2020年の作品。IMDb評価は7.7。アカデミー賞国際長編映画賞受賞。マッツ・ミケルセン主演で最後の彼の華麗なダンスが素敵でした。なぜこんなにうまく舞えるのかと思ったら、マッツ・ミケルセンはもともと体操選手でダンサーだったとか。納得です。

学校の教師4人、マーティン、ニコライ、トミー、ピーターの男ばかりで酒を飲みおしゃべりしてる。「スコレドゥールの理論というのがあり、常に0.05%の血中濃度のアルコール(ワイングラス1~2杯)が体にあれば力がみなぎり勇気がでる」「ヘミングウェイも夜8時まで飲んでいてそこから執筆していた」「それなら皆でこれを実行しよう」と。

生徒から不評だったマーティンの歴史授業は酒を飲むことで、生徒にも好評となり、妻とのすれ違いも何とか時間を取ってキャンプに行ったりすることでうまい具合に調整できた。そのうち「自分の適量と思う量にして濃度を制限しないこと」に皆ですると、マーティンは学校で壁にぶつかったりして周囲から見てもおかしいと怪しまれる結果に。しかし0.1%のアルコール量が授業を盛り上げ、「グラント将軍、ヘミングウェイ、チャーチル」の大酒飲みの例を出して授業は大成功。ますます調子に乗る。体育教師のトミーは倉庫に酒瓶を隠し、学校側では生徒が隠れて飲酒しているのではないかと議題に上る。しかしトミーもまたサッカーのコーチぶりもうまくいく。

そのうち「点火という状態。ビール7,8杯でしゃべり上戸となり気分は上々、精神状態が浄化された状態に皆でなろう」といって4人で限界まで飲み、ニコライは帰宅しベッドでおねしょし、マーティンはどこかで頭を打ち外で寝ているところを子供に発見される始末。妻と大げんかしてマーティンは妻に出て行けと怒鳴る。その後アルコールが社会生活に支障出るとして、この実験はすべて終了となった。トミーの家にマーティンが寄った時、トミーに「奥さんと仲直りしたほうがいい」と言われそうしようとするがなかなかうまくいかない。その後トミーが酔ったまま海に漕ぎ出し亡くなってしまう。卒業生を送り出しそのお祭り騒ぎの最中、妻からメールが入る。「寂しい」というメール。少しメールをやり取りし、お祭り騒ぎの中小躍りし始めるマーティン。

マッツ・ミケルセンを久々に観ました。飲酒問題は結構厄介。酒は百薬の長なのでほどほど飲むにはいいけれど、という話。トミーは亡くなってしまったけれど、マーティンはぎりぎり家庭崩壊がなくて良かった。私は旅行中ボリビアでA型肝炎になり(たぶんペルーの市場でよく食べていたセビーチェ=魚の酢漬けのせいだと思う。よく洗っていないお皿やスプーンのせい)、それ以来肝臓はもちろん治っているけれど積極的に自ら飲むのは止めました。すぐに私は赤くなりあまり飲める体質ではないので、止めて正解だったとも思います。naonaoお勧め度★★★★

おまけ:この映画のトレーラー

わたしの叔父さん

デンマーク映画「わたしの叔父さん」(Uncle)を観ました。


わたしの叔父さん [DVD]

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  • 出版社/メーカー: オデッサ・エンタテインメント

  • 発売日: 2021/10/06

  • メディア: DVD






2019年の作品。IMDb評価は7・2。酪農家の叔父と姪の二人暮らしを描く。序盤全くセリフのないシーンが続き、途中も必要最低限みたいなセリフしかない静かな映画でした。年老いた叔父の世話をしながら牛の世話、獣医の勉強をしていた姪が、さらなる獣医の勉強、新しい出会い、恋愛によりまた別の世界の扉が開いていく様子が描かれています。

毎日のルーティンの牛の世話で一日が終わるクリス。その上、体の融通が利かない叔父の世話もある。牛が生まれる時獣医が遅れてきたが、クリスは獣医の勉強をしているため無事に子牛の出産を成し遂げる。獣医の勉強になるから助手にならないかと獣医に声をかけられ、彼女はその誘いに乗って助手をする。教会に行くとマイクと言う男性にコーラスに誘われ、また獣医のお供でついて回るとそのマイクと再会。親の命日に花を手向けに行くと、またもマイクに会い一緒に食事をしないかと誘われる。そしてその食事の場所にクリスは叔父も連れて行くのでした。獣医からコペンハーゲンで講義があるからそれを聞きに一緒に行かないかと誘われ、コペンハーゲンに行ったはいいが、叔父が倒れたことがわかりすぐに家に戻るクリス…。

叔父と二人だけで坦々と生活していたのに、外から新たな世界が開かれてその生活も一変しそうなその途中までが描かれていました。この先彼女はどんな選択をするのでしょう。結論が描かれるでもなくそのまま人生が続く…という感じで映画は終わりました。

気になったのは叔父さんが大好きな「ヌテラ」というもの。買い物に行っても「ヌテラ」、家でも「ヌテラ」と言っていて、一体「ヌテラ」って何なの?と思って調べたら、イタリアのフェレロ社で作っているヘーゼルナッツとココアのパンに塗るスプレッドのことでした。おいしそう。イタリアのフェレロ社というと金紙に包んだ真ん丸のチョコレート、フェレロロシェが有名。このチョコは好き。またテレビのニュースで日本のことが流れたり、コペンハーゲンで寿司を食べに行ったりして、日本のことが結構出てきました。監督さんが日本が好きなのかしらと思いました。naonaoお勧め度★★★★

バベットの晩餐会

デンマーク映画「バベットの晩餐会」を観ました。



バベットの晩餐会 HDニューマスター版 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント

  • 発売日: 2017/08/02

  • メディア: Blu-ray






1987年の作品。IMDb評価は7.8。アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞。19世紀後半のデンマークの田舎町で、つつましく生きる姉妹の元に送り込まれた女性シェフが開く晩餐会の様子を描く。

牧師の父を持つ姉妹は父の亡きあともずっと村で牧師のような役割を担っています。姉妹の若き日有名歌手がフランスからやって来て妹の歌のレッスンを買って出てレッスンしますが、そのうちその歌手に恋心が芽生え妹はこれを拒否。その後その縁から、フランス革命で行き場を失ったフランス人シェフのバベットを近くにおいてやってくださいと手紙が来ます。姉妹の食事などの世話をするバベットのお陰で姉妹はますます村人の世話に専念できるようになります。それから14年もの月日が流れたときにバベットが宝くじ1万フランを当て、牧師の父親の記念日の晩餐会のためにフランスから食料を取り寄せフランス料理を有り金すべてをはたき皆に振る舞うのです。

茅葺の三角屋根の白い家が並ぶ小さな漁村の清貧な生活の村人たち。家の中には何もなく、集会を開いては神様を信心しています。村人たちはどんどん年を取り姉妹も年をとっていく中、信仰は続きますが、最後にバベットのプロの特別な食事を頂くことで顔も蒸気し、幸せな気分に浸ります。宗教上食事がおいしいとかなんとかは言えないのですが、海がめのスープ、キャビア、うずらのパイ、たくさんの高価なワインにシャンパンなど村人は初めて口にするものばかり。唯一そのフランス料理の価値がわかっているのは、その昔姉とちょっとした恋愛関係にあった将軍だけでした。彼はこの晩餐会に立ち寄り姉と再会し、別れるときに「どこにいようがあなたと一緒です」と言って去っていきます。

おいしいものは人を幸福にさせます。「かもめ食堂」「マーサの幸せのレシピ」「三ツ星フードトラック始めました」「レミーのおいしいレストラン」「食堂かたつむり」など食べ物が出てくる映画は数々ありますが、こういった映画を観終わったとき同様、映画の中に出てきた料理がむしょうに食べたくなりました。宗教色強い映画で、前半は村人に覇気がなくどんより重い感じでしたが、晩餐会での村人たちには幸せ感が漂い、観ているこちらまで幸せ気分になりました。

幸せなひとりぼっち

スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」を観ました。



幸せなひとりぼっち [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン

  • 発売日: 2017/07/05

  • メディア: Blu-ray






2015年の作品。IMDb評価は7・7。アカデミー賞2部門にノミネート。スウェーデンでは5人に1人が観た記録的大ヒット映画で、スウェーデンのアカデミー賞と言われるゴールデンビートル賞で主演男優賞、男優賞受賞。ヒューマンドラマ。

妻に先立たれた周りからは偏屈なじいさんと思われているオーヴ。妻を追って死のうと格闘するも周りから横やりが入ってそうそう死ねないでいます。隣に引っ越ししてきたイラン人の一家と関わり、奥さんの運転やら子供の面倒、ネコの面倒、カフェで会ったゲイを泊まらせ、線路に落ちた人を助けをしたときに出会った記者の手を借り長く親友だった友人を助けといろいろなことに巻き込まれていきます。彼が幼くして母を亡くし、青年になって列車で父を亡くし、妻と出会ってスペイン旅行をして、その帰り道のバスで事故に遭い妻のお腹にいた子供を亡くし、妻が下半身不随となり車いすで教壇で子供たちを教え、そしてガンで亡くなったという彼のこれまでの人生を回想が織り交ぜられ、そして最後息を引き取るまでを描いています。

いつもぷんぷんして手に負えない偏屈おやじだから嫌だなと思うのですが、彼は人から頼まれると文句を言いながらも手伝い、隣のイラン人の奥さんがまた積極的に接してくれることでコミュニティの輪が広がる感じが良かったです。スウェーデン映画はほとんど観ていませんが、オーヴ役をやったロルフ・ラスゴードさん、「アフター・ウェディング」にも出ていたらしく、そういえば「アフター・ウェディング」観たなあと思うのでした。すっかり内容も忘れていますが。コミュニティと関わることなしには人はかなり孤独ですが、ひとりぼっちであってもコミュニティと関われば幸せですね。オーブの奥さんの向日葵のような笑顔が忘れられない映画で、素敵な奥さんと巡り会えただけで幸せな人生だったのではないかと思いました。

おじいさんと草原の小学校・スカイライン・光のほうへ・戦火のナージャ

久々の更新になりました。

東日本大震災以降に観た試写会を、ここら辺でまとめておきたいと思いました。観たのは4本です。

①イギリス映画「おじいさんと草原の小学校」

「おじいさんと草原の小学校」の場面カット

公式映画サイト:http://84-guinness.com/

この映画はケニアを舞台に実話を元に作られました。イギリス植民地支配から独立を勝ち取った39年後の2003年、ケニア政府が全国民に向けて無償教育制度をスタートさせますが、それまで独立戦争で戦い、妻子を目の前で虐殺され、強制収容所で長い間拷問を受けた84歳のマルゲおじいさんが「私にとって自由とは学校に行き学ぶこと。もっともっと学びたい」と言って小学校で教育を受けたいと申し願います。しかし本来学ぶべき子供たちで小学校は溢れ、なかなか許可が下りません。しかしマルゲおじいさんの熱意が学校長を動かし、彼女の計らいで通学が叶うものの数々の嫌がらせが始まります・・・・。

世界最年長の小学生として実際にギネス記録を持つマルゲ。彼の勉強したいという熱意には心動かされます。そしてケニアの大地に生きるキラキラ光る眼を持つ子供たち、マルゲの熱意を汲む校長先生にも。熱意さえあれば何でも道が開かれるということをこの映画は語っていました。映画上映は岩波ホールにて。素晴らしい映画でお勧めです。

②ハリウッド映画「スカイライン 征服」

「スカイライン 征服」の画像1

公式映画サイト: http://skyline-movie.jp/

「2012」「アバター」のVFXチームによる映画。SF映画です。

ロスに住む友人宅を訪れたカップルが、早朝目にする薄気味悪い青白い光。その光を目にすると吸い込まれるように目が離せなくなり、たちまち光の中に消えてなくなってしまう・・・。得体の知れないものがロスの空を支配し、街は破壊され、人は吸い寄せられ、捕獲される。軍隊が出動するもなかなかその相手を倒せない・・・。

低予算と言われてる割には映像が良かったです。気楽に観るには楽しめます。残念だったのはストーリーがなんともまとまりがつかなかったこと。そのため印象がとても薄い映画となりました。

③デンマーク映画「光のほうへ」

「光のほうへ」の画像1 「光のほうへ」の画像2

「光のほうへ」オフィシャルサイト:http://www.bitters.co.jp/hikari/

第60回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、北欧映画賞受賞、ノルウェー国際映画祭批評家賞受賞、2011年デンマークアカデミー賞助演男優賞ほか5部門受賞作品。

アルコール依存症の母親に育てられた兄弟が、さらに幼い弟の世話をしているうちにその弟を死なせてしまいます。悲惨な子供時代を送った兄弟は成人しても兄は愛するすべを知らずに人間関係を築けず、そのうち無実であったけれど殺人罪で刑務所へ送り込まれ、また弟は離婚し子供を一人で育ててはいるものの、薬物中毒に溺れ、密売人となり、やはり刑務所へと送込まれます。二人が再会するのは残念ながら刑務所という場所でした・・・・。

全編がとても暗くてやりきれません。かなり重い映画です。最後の最後にちょっとだけ光が見えて終わりました。疲れているときにはお勧めできない映画です。元気があるときだけ観てください。

④ロシア映画「戦火のナージャ」

「戦火のナージャ」の場面カット

公式映画サイト:http://www.senka-nadja.com/

時代は第二次世界大戦中のソ連とナチスドイツの全面戦争の頃。スターリンの粛清の犠牲者となった父を持つ共産党員の娘ナージャは、ふとしたことから父が存命であることを知ります。過酷な父探しの旅に出て、たくさんの戦時中の不条理に出会いながら、父との再会を夢見てたくましく生きていくナージャの姿を描く映画です。

2時間30分という長い映画でしたがあまり長さを感じずに観終わりました。映画の最後に瀕死の兵士を助けようとしたナージャは、「生まれてから一度も女の人の胸を見たことがないんです。一生のお願いです。胸を見せてください」と頼まれ、ボタンをはずして胸を見せるシーンがありました。それはジュディ・ディンチ主演の実話を元に作ったイギリス映画「ヘンダーソン夫人の贈り物」を思い出させました。富豪のヘンダーソン夫人は戦争で息子を亡くし、その息子の部屋を整理したときにたくさんのポルノ雑誌が出てきたことで、イギリス初のヌード・レビューを開いた人でした。「戦火のナージャ」の映画の中には銃が乱射して泣け叫びながら逃げ惑う人々の姿もたくさん描かれてましたが、兵士のたった一言の「胸を見せてください」と言うセリフだけでも、戦争の酷さが集約されているようでした。

Soundtrack

Soundtrack

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Varese Sarabande
  • 発売日: 2011/06/14
  • メディア: CD
オリジナル・サウンドトラック 『スカイライン -征服-』

オリジナル・サウンドトラック 『スカイライン -征服-』

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2011/06/08
  • メディア: CD
戦火のナージャ [DVD]

戦火のナージャ [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

ヘンダーソン夫人の贈り物 デラックス版 [DVD]

ヘンダーソン夫人の贈り物 デラックス版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD