4月になれば彼女は

日本映画「4月になれば彼女は」を観ました。


「四月になれば彼女は」DVD通常版 [DVD]

「四月になれば彼女は」DVD通常版 [DVD]



  • 出版社/メーカー: 東宝

  • 発売日: 2024/09/25

  • メディア: DVD






2024年の作品。IMDb評価は6.3。ラブロマンス。藤井風がこの映画の主題曲「満ちていく」を書いていたので、この映画を早い段階から知っていて観たいと思っていました。大きな感動はなかったけれど、少しだけじわじわ。「愛を終わらせない方法。それは何でしょう?」「手に入れないこと」という弥生の言葉が印象に残りました。愛は必ず終わるということの裏返しの言葉でもある。また「あの時の私には自分よりも大切な人がいた、苦しい、辛い、それでも人は恋をする」と旅していた春が手紙に残した言葉。ひりひりする恋愛が良く伝わる言葉だと思った。恋愛は辛いからもう二度としないとシャットアウトする人もいるから。いずれは長い結婚によって、もしかしたら失われてしまう愛を弥生がそれでも手に入れ、春は結果的に永遠に美しい愛の思い出を持ったままで亡くなり、その対比が、結婚を取るか恋愛を取るかみたいな感じでもありました。でも対象を選んでも願い通りにいかないのが人生でもありますが。キラキラした瞬間は過去のものとなり、瞬間瞬間変わりつつある世界。すべて変わっていくのを受け止めるしかなく切ない。藤井風の「満ちている」の歌詞は、いずれにしてもこの映画を超えてよく書かれていると改めて関心した。恋愛に限らず人生にも当てはまる歌詞なので、この曲聞くと私は涙溢れます。

春(森七菜)は自分の病気が発覚してから、学生時代の写真部の先輩で恋人の藤代(佐藤健)と一緒に行けなかったウユニやプラハ、アイスランドへと一人で旅立ち、各地から藤代に手紙を書きます。春も藤代もお互い好きだったのに、春は藤代に飛び込むことができず恋愛は未消化のままに終わっていました。若さゆえ、未熟であったゆえ、後悔も入り交じっての自分の気持ちを整理するかのような手紙が何通も藤代の元へと届きます。

一方藤代は精神科の医師として働き、患者として来た獣医の弥生(長澤まさみ)と知り合い、同棲し結婚の準備をしていたのですが、突然弥生は姿を消します。電話も繋がらず、仕事場の動物園にも出勤していない。しばらく探し回っているうち春の父から「春が亡くなった」と知らせが入り、春が緩和ケアを受けていた病院に行くとカメラを渡され、その中に入っていたフィルムを現像すると、弥生の写真がありびっくりする藤代。

弥生は藤代に届いていた春の手紙を読んで逃走していたのでした。そして春がいた病院で働き始めていた。春が旅から戻って病院暮らしの中でも、写真を相変わらず撮っていたので、病院のスタッフや患者たちのたくさんの写真が病院に飾られている。弥生がいなくなっている間に弥生の関心のあることを学んだ藤代は、弥生を迎えに病院まで行く。今度こそしっかりと弥生に向き合い、決して離さないという覚悟で…。

春の行動は理解できた。旅に私もたくさん出てたので、旅先から人に手紙を書くのは、自分の心を見つめる行為でもあるから。学生時代にそれ以上突き進めなかった恋愛を振り返って、かつての恋人に手紙を送るという行為自体わかる気がした。しかし弥生の行動は理解しがたかった。元カノが今の彼に昔の恋愛のことを書いてくるとしても、元カノのいる病院で彼女を知るために働こうだなんて思うだろうか?「無くしたものを見つけたくて、春ちゃんに会いに来た」という弥生だけど、彼女がよくわからなかった。かつての恋の煌めきみたいなものを春から学ぼうとしたのだろうか?藤代も何を考えているのかわからないから、弥生が逃走してしまうのだよなあと思った。春以外の登場人物にあまり共感できずにいたので微妙にのめり込めなったけれど、映像は美しく、セリフもあまりなく静かな映画で、海外ロケの風景が美しかった。何より藤井風の「満ちていく」が良かった。naonaoお勧め度★★★★

おまけ:この映画のトレーラー

青春18×2 君へと続く道

日本、台湾合作映画「青春18×2 君へと続く道」(18×2 Beyond Youthful Days)を観ました。

青春18×2 通往有你的旅程- 维基百科,自由的百科全书

2024年の作品。IMDb評価は7.2。日本と台湾を舞台にしたラブストーリー。思いのほか泣けた。青春の思い出は何でいつも甘酸っぱくほろ苦いのか。台南の風景と日本の風景のそれぞれが美しかった。


バックパッカーで旅していたアミ(清原果耶)は台南で財布をすられ、カラオケバーで働くことにする。そこには4つ年下の18歳のジミー(許光漢、シュー・グァンハンまたはグレッグ・ハン)がアルバイトで働いていた。ジミーのバイクの後ろに乗って、アミは夜の台南の街を満喫する。また別の日にはジミーに誘ってもらい日本映画「ラブレター」を一緒に観に行く。アミの帰国直前にはアミが行きたいと言っていた十分(シーフェン)のランタンをジミーと共に観に行く。アミはランタンに「ずっと旅ができますように」と願いを書いてランタンを上げた。アミは「世界中を回りたい。自分にしか描けない絵を描く。自分を確かめる旅をする」と言っていた。「2人の夢が叶ったらまた会おう」とジミーと約束をして別れる。お互いが淡い恋を抱きながらの別れだった。ジミーは台北で大学生となり、退学しゲーム会社を立ち上げ働いた。ゲームが出来上がった時アミに電話したジミーは「日本に行きたい」と言ったが、アミは「(夢を叶えたら会うという)約束忘れたの?それに私はこれからブラジルにボーイフレンドと一緒に行くんだよ」と言った。

18年経って日本に仕事で出かけるジミー。その後は湘南、松本、長岡、只見と一人旅をした。湘南では好きなスラムダンクの聖地巡り、松本では入った店の台湾人と話し、長岡行きの列車内では18才の男の子と話をし、雪を見るため一緒に下車。長岡ではネットカフェに入り自分の開発したゲームをしてる店員にランタン祭りに連れて行ってもらう。只見はアミの生まれ育った場所でアミの母親が出迎えてくれた。アミは亡くなっていた。アミの母から、アミがジミー宛てに残したアミの絵が描かれた本をもらった。そこには台南の思い出がびっしりと描かれてある。彼にとっては、この旅は青春に別れを告げる旅だった。

台南での二人の出会いと、18年後のジミーの日本への旅が交互に描かれ、台湾十分(シーフェン)と新潟のランタンがシンクロして美しかった。アミの絵が描かれた本をジミーが手にしたときに、アミの台南の旅が振り返るようにして描かれ、アミが台湾旅行中から薬を持ち歩き具合悪かったことがそこで初めてわかる。ジミーの方も一枚だけ雪深い只見の絵ハガキをもらっただけで、その後電話してアミの死を知らされ意気消沈した何年か前のことも描かれる。

『青春18×2 君へと続く道』  (C)2024「青春 18×2」Film Partners

アミの死を知り泣けた。「世界旅行したいと言って飛び出しても結局台湾しか行けなかったけれど、台湾に行けて良かった」ことや、「台湾の4歳年下のシャイなボーイフレンドがいるから私も頑張らなきゃ」といったアミの生前の言葉をアミの母はジミーに伝えた。「(夢を叶えたら会うという)約束忘れたの?それに私はこれからブラジルにボーイフレンドと一緒に行くんだよ」と電話でアミがジミーに言っていたのは、アミが既に病床に就いているときだった。

何年か前に、ソ・ガンジュンとパク・ミニョンがインタビューで日本映画の「ラブレター」のことを話していたのでその際に観たのですが、かなり泣いたことは覚えていてもストーリーはすっかり忘れていました。自分のブログを読み返して、ああ、そうかとストーリーを確認しました。備忘録としてのブログはやはり必要だと改めて思いました。韓国で流行ったというこの日本映画「ラブレター」も台湾でも観られているんだなあと再認識しました。

舞台となった台南の街並み、建物などちょっとレトロで素敵だった。ランタンも美しく、中国のシーサンパンナで私も実際に見たことを思い出しました。台湾は台北や花蓮などに2、3回行っているけれど、南の方は行ったことがない。近いから出かけてみるのもいいかなと思った。「旅は何が起こるかわからない、だから面白い」とアミが言っていたけれど、まさしくそうだなあと思います。2年間世界一周、合計したら4年間旅行してきた私。基本バックパッカーだったけど、起きた全てのことが愛おしい。いい思い出ばかりです。

主役のグレッグ・ハンは「時をかける愛」でお馴染み。前はグレッグ・ハンと言ってたのに今はシュー・グアンハンと言ってるみたい。高校生役はちょっと無理があった気もするけどまあ許容範囲内。「時をかける愛」の高校生役はかなり良くて嵌ってたけど。清原果耶はピュアな透き通った感じがあって、いつ見ても素敵。演技もうまくて若手では好きな女優さん。naonaoお勧め度★★★★★

おまけ:この映画のトレーラー


PERFECT DAYS

日本映画「PERFECT DAYS」を観ました。


PERFECT DAYS 通常版【2枚組】 [DVD]

PERFECT DAYS 通常版【2枚組】 [DVD]



  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント

  • 発売日: 2024/07/26

  • メディア: DVD






2023年の作品。IMDb評価は7.9。カンヌ国際映画祭コンペティション部門男優賞受賞(役所広司)、日本アカデミー賞最優秀監督賞受賞(ビム・ベンダース)、最優秀主演男優賞受賞(役所広司)。ドイツのビム・ベンダース監督による映画。外人の監督作品なのにちゃんとした邦画だった。坦々とした日常を描く。東京にこんなに変わったトイレがあるのかとびっくりした。東京スカイツリーや電気湯の銭湯がある墨田区や浅草の地下道にある昭和の名残りのある飲食街、隅田川にかかる桜橋、渋谷のトイレ、首都高など。渋谷のトイレを除いては、私にとっては比較的馴染みの風景が出てきたのは心地良かった。セリフがあまりなく、ドキュメンタリーを観ているかと時々錯覚することもあった。

平山の一日。朝起きてハミガキ、ひげの処理、植木に水をやり、自販機でコーヒーを買って車に乗り込み首都高を走る。東京スカイツリーがいつも見える風景。都内のトイレを掃除してはまた移動して掃除して、昼食は神社の森みたいなところで取る。上を見上げると木漏れ日がさし、それを昔のカメラで撮る。仕事を終えると銭湯に行って汗を流し、夕飯は浅草の地下道の一杯飲み屋風のところで取る。夜は本を読む。ある時はウィリアム・フォークナーの「野生の棕櫚」、またある時は幸田文の「木」、パトリシア・ハイスミスの「11の物語」。休みの日には箒で掃除をし、馴染みの古本屋で古本を買い、撮った写真のフィルムを現像してもらい新しいフィルムを買う。またコインランドリーで洗濯し、ママの手料理のある小料理屋で食事を取る。夜見る夢は白黒の映像。

ある時仕事仲間の若者たかしがガールズバーのアヤに首ったけでお金を貸してもらいたいと平山に頼む。平山の持っているカセットテープが何千円にもなるとたかしに連れていかれた下北沢の店で言われるが、カセットは売らず。家にも車にもカセットテープが積んであり、アヤや後から家出してきた姪っ子のニコが車の中でそのカセットテープを聞いたりする。たかしは仕事を辞め新しい人が入り、ニコは妹が来て連れて帰り、小料理屋のママと元だんなが抱き合っているのを目撃しその元だんなと隅田川沿いで会い、彼がガンでママに会いに来たことを知る。

毎日の坦々とした日々が心地いい感じで描かれていた。平山は古いアパートに住み、フィルムの必要なカメラを使い、カセットテープで音楽を聞き、夜は読書三昧。家の掃除も箒を使う。30年以上前の生活をそのまま続けている感じ。でもこれはこれでいいなあと思った。昼間の仕事は東京の公共トイレ掃除。その掃除の仕方が手を抜かずにピカピカに磨く感じ。裏の裏まで鏡まで使って。ノズルの部分まで。それがまた良かった。またトイレ自体がとってもモダンで個性がありそれぞれ洒落ていてびっくりした。映画に出てきたこのトイレを探したら面白いだろうなあと思った。ちょっと調べるとありました、ありました。この映画に出てきたトイレについてまとめられてます。面白いです。

カラデル(映画観るなら渋谷のトイレを制覇しよう)⇒https://caradel.portal.auone.jp/post-22793/

note(映画に出てくるリデザイン公共トイレ)⇒https://note.com/dj_gandhi/n/ne72fa5b70d4e

それとこの映画に出てきた本を読みたいと思いました。読んだことのない作家、作品だから。これも何かの縁だから。映画に出てくる音楽は「The Dock of the Bay」や「朝日のあたる家」くらいしかわからなかったけれど、ママ役の石川さゆりが「朝日のあたる家」を熱唱してました。役所広司がやはりいい味出してました。風景の中の音が聞こえるだけのシーンが多く、人のセリフがあまりないのも心地よかった。naonaoお勧め度★★★★★

おまけ:この映画のトレーラー

劇場版 ルパンの娘

日本映画「劇場版 ルパンの娘」を観ました。


劇場版 ルパンの娘 レガシー・エディション [Blu-ray]

劇場版 ルパンの娘 レガシー・エディション [Blu-ray]



  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

  • 発売日: 2022/02/23

  • メディア: Blu-ray






2021年の作品。IMDb評価は5.1。ドラマ「ルパンの娘」の映画化。ドラマも観ていて結構好きなドラマだったので楽しかったです。人気ドラマが映画化されると映画は観なくて良かったかもと思うことが多々ありますが、この映画はドラマにも劣らないくらいとっても良かった。評価低いけどもっと高くても良さそう。相変わらずインパクトの強い小沢真珠さんの演技と大貫勇輔さんの突然のミュージカルが素晴らしく良かった。

華(深田恭子)はかずくん(瀬戸康史)と共に子供を連れて新婚旅行に。でも本当の目的はディーベンブルグにある王冠を盗み出すこと。Lの一族がこの地に大集合することに。そして父(渡部篤郎)と母(小沢真珠)が引退を宣言する中、三雲レイ(観月ありさ)という彼らの行く手を阻む存在が。実はレイは華の本当の母であり、今まで本当の父母と思っていた父母は伯父伯母であった。華の父親(岡田義徳)が殺されたことでレイは悪者になってしまったので、1995年にワタル(栗原類)が作ったテントウ虫のタイムマシンでタイムスリップしてそれを食い止めようとするが…。

まずはストーリー展開が面白かった。華の父母が本当の父母でないという衝撃。またタイムスリップし過去を変え今ある現実が変わる恐れ(かずくんと出会わず結婚せず子供もいない世界になること)とか、円城寺の父(市村正親)が敵になったかと思ったら実は味方だったとか。

愛の不時着のパロディが可笑しかった。レイがピエロ姿で殺人を起こそうとするところが、「ジョーカー」みたいでもあったし。泥棒ワールドカップなる大会に出場する円城寺があまり出番がなく寂しいなと思いきや、後半たくさん出番があり楽しかった。敵を華麗な踊りでバッタバッタと倒してたのが本領発揮。最後の華とかずくんの結婚式にはさらに華麗な踊りを披露。オールスターキャストが揃い踊っていたのもとても最後に相応しく良かった。この泥棒一家、そしてかずくんの親やおじいさん(藤岡弘)たちも含めそれぞれのキャラも楽しくて、愛すべき映画、ドラマでした。また何といってもいきなりミュージカルになるというのが楽しすぎる。大貫勇輔演じる円城寺が素敵すぎ。naonaoお勧め度★★★★★

おまけ:映画の元となってるドラマも楽しいです。


ルパンの娘 Blu-ray BOX

ルパンの娘 Blu-ray BOX



  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント

  • 発売日: 2019/12/25

  • メディア: Blu-ray






ルパンの娘(2020) Blu-ray BOX

ルパンの娘(2020) Blu-ray BOX



  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント

  • 発売日: 2021/10/06

  • メディア: Blu-ray





波紋

ニッショーホール(旧ヤクルトホール)で日本映画「波紋」を観てきました。

波紋

(Filmarksから拝借)

2023年の作品。荻上直子監督作品。現代社会の抱える問題(震災、新興宗教、老々介護、障害者差別など)に次々と翻弄される主婦の姿を描くドラマ。「かもめ食堂」「めがね」「トイレット」「彼らが本気で編むときは、」など好きな作品ばかりの荻上直子監督の映画なので期待して観ました。今回は映画の後に舞台挨拶があり荻上直子監督の他、主演の筒井真理子さん、お笑い芸人のみなみかわさんが登場。実は「かもめ食堂」「めがね」「トイレット」も試写会で観てその時も荻上直子監督の舞台挨拶付きだったので、監督を観るのはこれで4回目。何とラッキーで監督作品と監督に縁があるのだと改めて嬉しくなりました。相変わらず監督はお茶目な感じでトークも面白かったです。またヤクルトホールがニッショーホールに名前を変えたことも今回初めて知り、旧ヤクルトホールに足を運ぶのも何年振りだろうかと懐かしさで一杯になりました(虎門にあったニッショーホールはどうなったんだろうとも思いました)

3・11が起きマスクをして水を買いに走る主婦の依子(筒井真理子)。テレビの音声では安部首相が原発は「Under control」と言っている。夫の父の介護をしている中、夫(光石研)が突然の失踪。夫の父が亡くなったあと半年してから夫が家に戻ってくる。「ガンになった。家で過ごしたい」という。近所の猫が自分の家の庭に入り、せっかく作った枯山水が台無しになる。近所の人に言っても素知らぬ顔をされる。スーパーのレジ打ちのアルバイト先では傷ついた商品を持ってきて毎回「半額に負けろ」と大声で怒鳴る客(柄本明)がいる。九州に就職した息子(磯村勇斗)が里帰りで連れてきたのは聴覚障害のある息子より6歳上の女性。妊娠している、そして結婚するという。夫が失踪してから入会した新興宗教先(キムラ緑子、江口のりこ、平岩紙がその幹部や会員役)ではたくさんの聖なる水を手に入れ、祈り、集会に参加し、踊り、ホームレスに食事を配っている…。

澱のように溜まっていく日常生活のイライラやモヤモヤ、波紋を依子は新興宗教に走ることで解決しようとする。聖なる水を買い特別だという水を分けてもらいながら、毎日の祈りと何かにつけその水を自分の周りにスプレーして清めようとする日々。ガンの認可されていない薬を使うために夫に大金が必要で、夫は「おやじの金は結構残っているだろう」と言う。バイト先の清掃するおばちゃん(木野花)に「体を動かすといい」と言われ同じようにプールに通い、よく話をするようになる…。彼女の一言「復讐しちゃえばいい。やっちゃえばいいのよ」みたいな発言で、依子は夫の歯ブラシで洗面を洗い素知らぬ顔をし、スーパーでは「お客は神様だろう」と怒鳴る客に「私の夫はガンなんです。神様なら何とかしてくれますか?」と言い放ちその客を手ぶらでそそくさと帰らせる。ちょっとした復讐が日常の息苦しさに風穴を開けて、少し心地いいものになる。最後、夫が亡くなると息子に「昔みたいにフラメンコやれば?」と言われ、喪服のままその場でフラメンコを踊り出す依子。気分爽快で思わず踊り出したような感じ。

時々セリフにクスッと笑え、そのセリフの数々がいかにもこの監督らしいなあとやはり思いました。また今までの映画は優しさとか癒しとか時のゆっくり流れる感じが必ず感じられ、とっても心地よくほのぼのしていたのですが、今回はちょっと毛色が変わっていてそういうものではなかった。初めからイライラ、モヤモヤが周りにたくさんあって、それをちょっとだけ気のすむように行動したり言葉にしたりすることで気分がスッキリする、そういう映画でした。あまり重くないクスッと笑いに変えているのがとっても良かった。これはこれでまた良き映画。また木野花演じる清掃のおばちゃんの家がごみ屋敷で、「息子が一人いるけど戻ってこない」と言っていたのに既に故人となっていたのにはちょっとグッときました。人それぞれに何かしらを抱えながら生きている。そして新興宗教先での踊りは違和感あったけど、そういえば「めがね」でも皆で変な踊りを踊っていたなと思い出しました。「めがね」の踊りは笑えて面白かったけど。依子のフラメンコは彼女の心の内が表現されていて結構すっきり、良かったです。naonaoお勧め度★★★★